「行政書士」が今や"まちの法律家"であると知られはじめたことは、喜ばしいかぎりです。が、いぜんとして、行政書士は実際にどんな仕事を受任して事務所を成り立たせられるのか、行政書士を目ざす人たちにとって分かりにくいと言われます。
本書は、行政書士の業務の詳細、事務所の経営、依頼人接客などについて、著者の体験をふまえて実に行き届いた説明をしています。行政書士試験の受験者はもとより、現役の行政書士の方がたにとって、手許に置いておきたい「業務必携」でしょう。
この本の特色は、@行政書士事務所での接客サービスや補助者の働きを類書なく書いていること、A書士業務の詳細を、役所申請・届出の一覧や契約書式、さらに他士業との業務区分など、実例本位に記していること、と見られます。行政書士の将来像を「行政手続代理士」と称して行政手続業務を重んじますが、併せて契約・法人書類や内容証明など民刑事手続の業務にも力を入れています。
著者は、東京で40数年にわたって開業、書士会の役員でも活躍した行政書士の大ベテランで、すでに業務マニュアルを出版していましたが、このほど、司法改革のさ中に、新たに本書を書き下したわけです。
私は、東京都行政書士会の顧問として、同会および国際行政書士協会の会合などで、著者と親しく出会い、かねて行政書士の理論家だと感心しておりました。青山さんがここに、実務的と同時に理論的な本書をものされたことを、心より喜んでおります。
司法改革下に行政書士職のADR(裁判外紛争解決手続)の代理資格が要望されている折から、行政書士界に理論化が求められています。私は著者・青山登志朗氏が今後とも、本書に示されたような理論の展開によって行政書士職の社会的アピールに寄与されることをも期待している次第であります。
2005(平成17)年4月吉日
東京都立大学名誉教授(法学博士)
東京都行政書士会顧問
兼子 仁
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